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文献詳細

雑誌文献

精神医学33巻6号

1991年06月発行

研究と報告

精神疾患における不規則なβ波の出現と抗けいれん薬の効果

著者: 永久保昇治1 熊谷直樹2 亀山知道3 福田正人2 白山幸彦2 斎藤治4 安西信雄2 丹羽真一2

所属機関: 1葛飾橋病院 2東京大学医学部精神医学教室 3東京逓信病院 4国立精神・神経センター武蔵病院

ページ範囲:P.609 - P.619

文献概要

 【抄録】 本研究は,“不規則β波パターン”を呈する患者の出現頻度,臨床特徴,その臨床症状に対する抗けいれん薬の有用性を検討したものである。“不規則β波パターン”を呈する脳波は稀なものではないが,従来注目されることの少なかったものであり,基礎波形に高振幅で不規則なβ波が目立ち,時にtransientな波形が混入するものを指す。1986年に東大病院精神神経科を受診した全新来患者のうち脳波検査を施行した症例の脳波を全例視察的に検討し,分裂病圏,感情病圏,神経症圏に該当するものをその対象とした。脳波検査を施行した症例のうち不規則β波パターンを呈する症例の比率は約10%であり,不規則β波パターンを呈する症例は不機嫌,心気症,自律神経症状が高い頻度で認められ,逆にこれらの症状の認められる患者ではそうでない患者に比べて不規則β波パターンが有意に多く認められた。抗けいれん薬の併用により半数以上の症例が臨床症状の改善を示し,特に不機嫌,心気症,自律神経症状の改善が目立った。以上より,不規則β波パターンに注目することの重要性,脳波検査の重要性,抗けいれん薬の有用性が示唆された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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