文献詳細
研究と報告
慢性硬膜下血腫を合併した初老期痴呆の3例
著者: 渡辺新太郎12 由利和雄1 村田章1 柏井洋平1 岩村久1 坂田哲二1 玉垣千春1 斎藤正己1
所属機関: 1関西医科大学精神神経科学教室 2大阪府大東保健所
ページ範囲:P.621 - P.626
文献概要
Alzheimer病の2症例は,それぞれ発症後8年目および5年目に慢性硬膜下血腫を来した。また,Pick病の症例は,発症後7年目に硬膜下水腫,続いて硬膜下血腫を来している。これらは3例とも初老期痴呆の病期分類における第2期で,慢性硬膜下血腫を来しており,この時期の初老期痴呆には治療・看護面での十分な配慮が必要であると考えた。
また,臨床症状については,初老期痴呆患者に慢性硬膜下血腫が合併した場合,自発性の低下や軽度の意識障害など,一見すると痴呆の進行と見誤るような精神症状の変化がみられることから,その診断には精緻な臨床的観察が肝要と考えた。
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