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文献詳細

雑誌文献

精神医学33巻7号

1991年07月発行

文献概要

研究と報告

精神分裂病患者の病前行動特徴(第5報)—通知表による分裂病患者と一般児童の行動の比較

著者: 飯田茂1 増井寛治2 原田誠一3 高桑光俊4 佐々木司5 高橋象二郎3 岡崎祐士6

所属機関: 1埼玉県立精神保健総合センター 2東京都立松沢病院 3東京都立中部総合精神保健センター 4多摩病院 5神経研究所附属晴和病院 6長崎大学医学部精神神経科学教室

ページ範囲:P.713 - P.718

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 【抄録】 筆者らは,小・中学校時代の通知表を用いて,精神障害患者の病前行動特徴を調査してきた。これまでにDSM-Ⅲの診断基準による分裂病患者とその同胞,感情病および神経症患者を対象にして比較してきた。その結果,分裂病は学童期から「場に溶け込めない」「交友が狭い」「無気力」「消極的」「自信がない」など,いわゆる分裂気質や分裂病の残遺症状と類似した行動特徴が認められた。一方,感情病は「積極的」「明るい,明朗」「熱中」「お節介」など対照的な行動特徴が認められた。また神経症については特徴的な病前行動は明らかではなかった。今回は,DSM-Ⅲの基準によって診断された分裂病の病前行動の疾患特異性をさらに検討するために,分裂病患者の病前行動と同胞の行動を一般児童の行動と比較検討した。その結果,過緊張,孤立,自信欠乏,自己決定能力の欠如,責任感・指導性・積極性の不足,言語表現能力や活力が欠けている点は分裂病に特徴的であることが強く示唆され,それらが学童期から存在している可能性が示された。同胞は「積極的に発言することは少ないが,真面目で思慮深く,作業が丁寧である。」と評価されるという結果を得た。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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