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文献詳細

雑誌文献

精神医学33巻7号

1991年07月発行

文献概要

研究と報告

5年間の不登校児のグループワーク—参加児の診断と社会および学校への適応

著者: 吉川領一1 大谷修史1 角田恵子1 宮尾美代子1

所属機関: 1長野県精神保健センター

ページ範囲:P.733 - P.739

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 【抄録】 長野県精神保健センターにおける不登校児のグループワークは,1985年5月から,中学生・高校生を中心とした外来デイケアという形式で始められ,1990年3月で5年を経過した。このグループワークの目的は,不登校の子供たちに居場所を提供し,同じような状態像をもつ子供たちとの交流の中で,集団精神療法的な治療やレクリエーションを行い,学校適応や社会適応の方向を目指そうとするものである。社会や学校への適応状況を診断の面からみると,神経症の範疇の子供は,社会や学校によく適応していたが,精神病の範疇の子供は適応がよくなかった。また人格障害の範疇の子供は境界人格障害の子供を除いて,よく適応していた。境界人格障害の子供については,グループワークにおける治療の困難性が問題となった。特にグループワークに導入される前に形成されていた治療者との枠組み設定が,グループワークに参加後も維持できるか否かが治療上の鍵であった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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