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研究と報告
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【抄録】 生活論的観点を「『多かれ少なかれ生来の個性と過去の生活史に規定されつつ,自分なりに希望を持って将来を見通しながら,多様な現実の<場>の中で現在を生きている』生活者としてケースをとらえ,日常言語的な言葉を用いて問題点や対策を考えて行く観点」と規定し,この観点から1登校拒否症患者の12年間の経過の検討を試みた。まず問題行動と症状の経過を述べ,次いで学校や家庭やその他の各生活場所,生活空間の広がり,関心や人生目標などの分野での経過を述べた。本人の状態は,学校や職場という生活の大枠に連動した長い周期の悪化と特定のきっかけによる小さな周期の悪化とを繰り返しつつ,趨勢としては改善を示した。生活空間は全体として一方向的拡大を示した。関心や人生目標の分野で一貫した特徴がみられた。これらの知見をもとに,生活論的立場の治療論上の意義や他の立場・見方との関連を論じた。また,各生活場面の構造と症状発現との関連,医学的立場の意義などについても言及した。
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