icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学33巻8号

1991年08月発行

研究と報告

経鼻的ならびに喫煙摂取を行った覚醒剤依存の症例—コカイン乱用との関わり

著者: 妹尾栄一1 森田展彰2 中谷陽二1 斎藤学1 佐藤親次2 小田晋2 秋山剛3 福本修4

所属機関: 1東京都精神医学総合研究所 2筑波大学社会医学系 3東京大学医学部分院精神神経学教室 4静岡大学保健管理センー

ページ範囲:P.811 - P.817

文献概要

 【抄録】 筆者らは,覚醒剤の非経静脈的使用,具体的には経鼻的吸引3症例と加熱喫煙1症例を臨床的に治療する機会を得,それらがいずれも最近2〜3年以後に発生している新たな流行パターンを示唆するものと考えられたので,文献的考察を含めて報告した。症例1と症例2では過去に覚醒剤の経静脈的使用歴が先行しており,患者達は既に静注の習慣を身につけていたにもかかわらず経鼻的吸引のほうを好んで続けている。また症例1から3までいずれも経過と共に摂取量がエスカレートし,幻覚・妄想症状を呈したことは,経鼻的摂取もまた経静脈的摂取と同様に重篤な障害をもたらしうる使用パターンであることを示している。症例4は覚醒剤を喫煙によって摂取した結果,著しく遷延する幻覚・妄想症状を呈した。米国ハワイ州で約3年前に発生した覚醒剤をガラスパイプに詰めて喫煙する新たな乱用パターンを移入したものと思われる。今後の動向を予測すると,覚醒剤はコカインに比して半減期が長いことと,わが国においては覚醒剤の流通量がコカインに比して圧倒的に多いことの2点から,クラックタイプのコカインよりも覚醒剤の喫煙吸引の流行の可能性が高いと思われる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら