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文献詳細

雑誌文献

精神医学33巻8号

1991年08月発行

文献概要

研究と報告

中断期を経て吸引再開に至った有機溶剤乱用患者について

著者: 飯塚博史1 奥平謙一1 斎藤惇1 金子善彦1

所属機関: 1神奈川県立精神医療センターせりがや病院

ページ範囲:P.819 - P.825

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 【抄録】 有機溶剤乱用を主訴として外来を初診した患者261名のうち,一定の中断期を経て吸引再開に至った症例について,その特徴を調べた。初診時25歳以上であった患者のうち,ほぼ継続して使用していた症例が約半数を占めたが,4割近くは一定期間中断しながら吸引を再開しており,特に11年以上の中断期間を挟んで吸引を再開した症例も4例存在した。中断期を経験した患者と連続して吸引を続けていた患者との間には,初診時年齢,経過年数,1親等以内の肉親における依存症患者の存在率などに差が認められた。中断期を経験した患者は,再吸引時における治療的介入に際して,同症状の10代の患者とは相違している要素が存在すると考えられた。提示された症例のうちのいくつかは,有機溶剤乱用患者の長期予後を検討する上で独自の重要性を有していることを指摘した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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