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文献詳細

雑誌文献

精神医学33巻9号

1991年09月発行

展望

双極病における病相発現予防の臨床

著者: 岸本朗1

所属機関: 1鳥取大学医学部神経精神科

ページ範囲:P.910 - P.924

文献概要

■はじめに
 Kraepelinによって躁うつ病が,欠陥を残さず周期性に経過する精神病として分裂病から分離されて以来,その再発予防は精神医学にとって最大のテーマの1つであった。その後20世紀半ばにはlithium(Li)に,1971年にはcarbamazepine(CBZ)117)に,1980年にはvalproic acid(VA)35)に抗躁作用,および病相予防効果85)のあることが相次いで報告され,以後これらの治療薬に関する薬理学的研究は,躁うつ病の病態理解に多大な貢献をなすに至った。一般的に複数の治療薬をもつことは,治療戦略の展開に強力な武器となるが,これらの予防薬はかなり臨床的色彩を異にしているので,それらの薬物による治療の展開は,被治療者に対する治療の質的発展に直結する。本論では病歴上躁病相を有する躁うつ病(以下双極病と表記)に限って,その経過に及ぼすいくつかの要因と,近年予防効果が承認されつつあるいくつかの薬物を紹介し,双極病の予防に関わる今後の展望としたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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