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文献詳細

雑誌文献

精神医学33巻9号

1991年09月発行

文献概要

研究と報告

Haloperidol decanoateによる精神分裂病の外来維持療法に関する研究

著者: 阪本淳1 猪俣好正1

所属機関: 1宮城県立名取病院

ページ範囲:P.935 - P.944

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 【抄録】 haloperidol decanoate(以下HD)が精神分裂病の外来維持療法で再発防止,再入院の抑制に果たした効果および限界,副作用などの問題点について明らかにし,HDの適用基準および実際の使用方法について検討する際の資料とするために,外来で一定の期間内にHDを使用した56例の患者について経過を観察した。結果からはHDの外来での使用によるメリットとして,服薬を中断しやすい症例の再発防止,再入院の抑制および病状安定の維持の2面が確認された。一方,期待に反してHDの適用が困難であったり,重篤な副作用により中断した症例もみられた。精神分裂病の外来維持療法においてHDを,より効果的かつ長期間にかかる危険を軽減しながら継続するためには,1)説明と同意を明確に行う,2)併用する向精神薬は減らす,3)支持的な精神療法や社会経済的支援と有効に組み合わせる,4)副作用や病像に与える影響を十分に検討した上で使用を開始する,などの点が重要と思われた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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