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研究と報告
被害妄想を呈したGilles de la Tourette症候群の1例—症状の変遷についての精神病理的1考察
著者: 菊池慎一1
所属機関: 1国立療養所鳥取病院
ページ範囲:P.953 - P.960
文献購入ページに移動 【抄録】 DSM-Ⅲ-Rの定義を満たし,強迫症状に加え,両親への直接的攻撃傾向,さらには被害妄想へと発展した,35歳男性のGilles de la Tourette症候群(GTS)の1例を報告し,その長期経過に伴う症状発展について検討した。その結果,GTSを呈した患者の思春期〜青年期における強迫症状の現象学的推移や非分裂病性の被害(敏感)関係妄想へとつながる一連の臨床経過が,その人格形成の発達に伴い,自我同一性の危機を挟んで,自己から排斥・否定される対象の,「自我」への変遷として体系的にとらえられた。また本症例は,23歳より今回入院までの約12年間,医療的に放置されていたため,GTSの自然経過を再考する上での貴重な資料になりうると考えられた。
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