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雑誌詳細

文献概要

研究と報告

眼瞼けいれんの発症要因と治療について

著者: 馬場淳臣1 鈴木利人2 白石博康3 小泉準三3 新井哲明1 熊谷一弥1 田中芳郎1

所属機関: 1筑波大学附属病院精神神経科 2栗田病院 3筑波大学臨床医学系(精神医学)

ページ範囲:P.961 - P.966

 【抄録】 眼瞼けいれんの2治療例を報告し現在明確にされていないその発症要因について考察した。症例1は50歳男性で,妻への不満や職場での仕事の不安などが誘因となって発症した心因性眼瞼けいれんと診断したが,本例では精神療法とtrihexyphenidylによる薬物療法の併用が著効を示した。症例2は58歳女性で,眼瞼けいれんに口周囲,舌,下顎などめ不随意運動を伴っていたことからblepharospasm-oromandibular dystoniaと診断した。症例2は従来器質性の眼瞼けいれんと考えられており,筆者らの症例もhaloperidolなどによる薬物療法が有効であったが,その発症や経過には娘の結婚問題などの心理的葛藤も関与していた。このような2症例にみられた眼瞼けいれんには,その発症,経過,治療,予後について心因と器質因の両要因が複雑に関与していた。したがって本症には,精神療法のみならず薬物療法を併用して治療することが重要であることが示唆された。

掲載雑誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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