icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学34巻1号

1992年01月発行

研究と報告

画像所見にて診断したcentral pontine myelinolysisの1例

著者: 梶田修明1 吉邨善孝1

所属機関: 1昭和大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.39 - P.44

文献概要

 【抄録】 症例は60歳の慢性アルコール症の男性であり肝障害にて入院後,全身倦怠感とともに易刺激性,焦燥感,不眠がみられ徐々にせん妄状態に移行した。その後意識障害は改善されるも一過性に四肢不全麻痺・仮性球麻痺・小脳失調が軽度認められ,画像にて橋中央部に境界明瞭な異常所見が得られることにより,本例をCPMと診断できた。CPMの病因については最近,低Na血症の急速補正が注目されているが,本例にその事実はなく諸検査結果より,我々は低Na血症の持続とアルコール・肝障害因子が影響し合い本例のCPMを形成したと推測した。CPMの病因解明には多数例の報告と並行し,1つ1つの詳細な報告が必要と考え今回本例を提示した。CPMはこれまで剖検にて診断されることの多い予後不良の稀な疾患とされてきた。しかし,本例のごとく過去には見逃されていたと思われる予後良好な軽症例も,画像診断の進歩とともにその報告は今後ますます増えるものと考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら