研究と報告
Adrenoleukomyeloneuropathyの1例
著者:
三由幸治1
乾正2
谷口典男3
籠本孝雄3
松永秀典3
挾間敬憲4
中田俊士4
所属機関:
1大阪府立中宮病院
2大阪府立大学
3大阪府立病院精神科
4大阪府立病院神経内科
ページ範囲:P.57 - P.62
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【抄録】 Adrenoleukomyeloneuropathy(以下ALMNと略)の1例を報告した。症例は,41歳男性。29歳頃,下肢知覚障害,歩行障害,インポテンツの神経症状で発症した。精神症状は,33歳頃,無関心,感情失禁,意欲低下が出現した。34歳頃,不眠,不穏,妄想状態がみられた。その後,けいれん発作も出現し,痴呆,寝たきり状態となった。頭部X線CTで両側側脳室後角周囲白質に低吸収域を認め,rapid ACTH試験は,副賢皮質機能の低下を示した。血漿のスフィンゴミエリンの脂肪酸分析で極長鎖飽和脂肪酸の増加を認め,臨床症状,経過よりALMNと診断した。
ALMN,adrenoleukodystrophy(以下ALDと略)の精神症状について述べ,ALMN,ALDに対する精神医学領域の重要性を指摘した。