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文献詳細

雑誌文献

精神医学34巻10号

1992年10月発行

文献概要

研究と報告

Clomipramine点滴治療中に悪性症候群を発症した3症例

著者: 井上猛1 北川信樹1 佐藤雅俊1 大森哲郎1 小山司1

所属機関: 1北海道大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.1057 - P.1063

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 【抄録】 最近我々は,セロトニン再取り込み阻害能の強いclomipramine点滴静注による抑うつ状態の治療中に,悪性症候群を発症した3症例を経験した。発症前の精神症状は全例,精神運動抑制が強く亜昏迷状態であった。抗精神病薬は2例でsulpirideおよびlevomepromazineを少量併用していたが,1例では使用していなかった。悪性症候群の症状は筋強剛,発熱,血清CPKの上昇など,抗精神病薬によるものと同様であった。2例はdantrolene,L-DOPAの点滴による治療で,1例は対症療法のみで2〜4週間中に回復した。本症例における悪性症候群発症の機序として,個体側の要因に加え,clomipramine点滴による急激なセロトニン機能増強と弱いドーパミンD2受容体遮断作用が関与した可能性が示唆される。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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