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文献詳細

雑誌文献

精神医学34巻10号

1992年10月発行

文献概要

研究と報告

異なるタイプの心因性健忘を呈した5症例についての検討

著者: 白木澤史子1 高橋典克1 道又利1 齊藤悦郎1 伴亨1 鈴木廣子1 酒井明夫1 三田俊夫1

所属機関: 1岩手医科大学神経精神科学講座

ページ範囲:P.1065 - P.1071

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 【抄録】 青年期に発症した心因性健忘の5例を経験した。心因性健忘には,健忘が自己の全生涯に及ぶ「全般健忘」のほかに,P. Janetの記載した,ある出来事に結びついた心像体系に関する「系統的な健忘」と,何らかの出来事で占められている時期に「限局した健忘」がある。我々の5症例のうち症例1,2は全般健忘,症例3は限局した健忘,症例4は限局した健忘と系統的な健忘,症例5は系統的な健忘を呈した。
 各タイプの健忘の発症に関与する個体・環境要因について検討した。「限局した健忘」と「系統的な健忘」は心因と健忘の内容,期間に相関性があり,「全般健忘」に比べ環境要因の占める割合が高いと考えられた。
 Janetの神経症理論は発現する健忘の種類ばかりでなく,随伴する解離性障害,転換性障害の種類や発現順序を統一的に理解する上で有用と考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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