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文献詳細

雑誌文献

精神医学34巻10号

1992年10月発行

文献概要

研究と報告

月経周期に関連した周期性精神病の1症例—体温と血中ホルモンの変動

著者: 齋藤巨1 野島秀哲1 岡本典雄1 大原健士郎1

所属機関: 1浜松医科大学精神神経医学教室

ページ範囲:P.1079 - P.1086

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 【抄録】 症例は29歳の女性で,27歳時に第2子を出産後,約6カ月の抑うつ状態を呈した後に16ヵ月間躁うつ的病相を繰り返した。病相の出現は月経周期に関連しており,一過性の被害関係妄想,追想障害の存在などから月経周期に関連した周期性精神病と考えられた。抗精神病薬や抗うつ薬,Iithium carbonateなどに反応せず,carbamazepineを併用することによって病状の改善が認められた。入院当初より継時的に患者の体温と血中ホルモンの測定を行い,臨床経過に伴う体温,ホルモンの変化について検討した。病状改善前には,血中prolactin,progesterone値の異常や,基礎体温での2相性の消失,直腸温でのリズムの異常が認められたが,病状改善後には改善傾向を示した。検査結果より周期性精神病におけるリズム障害の存在を推定した。lithium carbonateとcarbamazepineの併用が内因性リズムの異常を是正し,病状改善をもたらした可能性が推測された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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