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文献詳細

雑誌文献

精神医学34巻10号

1992年10月発行

文献概要

研究と報告

精神科入院中の患者にみられる強迫的多飲および水中毒に関する研究—体重日内変動測定による予防を中心として

著者: 阪本淳1

所属機関: 1宮城県立名取病院

ページ範囲:P.1087 - P.1096

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 【抄録】 対象は当院入院患者に対する病棟内日常行動観察の結果,中等度以上の多飲(松田の基準)を認めた患者のうち検査の説明を本人に行い,同意の得られた20例(男性18例,女性2例,平均年齢46.6歳)である。方法は21日間,午前と午後の2回,排尿後に体重測定を行った。また,週1回,計3回,午前と午後に血清Na濃度を測定した。初回の採血時にADH,ANP,尿比重,尿浸透圧なども測定した。その結果,水中毒の既往を有する群(水中毒危険群)と有しない群(良性多飲群)に分類すると,体重日内変動および血清Na変動はいずれも水中毒危険群で有意に大きかった。そして,血清Na低下と体重日内増加との間では両群ともに有意の相関がみられた(r=-0.83,p<0.001)。これらは,水中毒危険群では水中毒を反復する危険が大きく,体重日内変動が血清Naの変動をよく反映するため水中毒の危険を予測する有用な指標であることを示した。さらに,水中毒の発現頻度,発現機序,予防と対策などについても述べた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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