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文献詳細

雑誌文献

精神医学34巻10号

1992年10月発行

文献概要

研究と報告

アルツハイマー型痴呆の病前性格と症状顕現状況

著者: 佐藤新1

所属機関: 1新潟大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.1103 - P.1112

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 【抄録】 アルツハイマー型痴呆の患者16名を対象に,数量化理論Ⅲ類を適用して作成した症例散布図を参照しながら代表的症例を呈示し,その病前性格と症状顕現状況を中心に臨床的視点からの分析を試みた。今回の我々の症例にみる病前性格は,従来報告されてきたアルツハイマー型痴呆患者のそれと一部相違して,病前に対人的積極性があり活発だった症例も少なからず認められた。また痴呆の顕現や増悪に影響を及ぼすであろう状況的要因を,(1)役割喪失,(2)それまでのライフスタイルを阻む方向への家族力動の変化,(3)大切な人物との別離,(4)居住生活空間の変化の4つとしてまとめた。これらは広義の対象喪失とみなすことができる。病前性格とライフスタイルを中間項にして患者の生活史をたどると,ストレスから痴呆症状顕現へと至る過程を連続したものとして把握し,説明することが可能であるといえよう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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