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短報
走馬燈のように複数の過去の情景を追体験した片頭痛・てんかん症候群の1例
著者: 兼本浩祐1
所属機関: 1国立療養所宇多野病院関西てんかんセンター
ページ範囲:P.1125 - P.1127
文献購入ページに移動 部分てんかんにおける発作放電の伝播に関して,その伝播の方向が,後頭葉から側頭葉へという方向性をとっており,その逆の方向へと向かわないことは,いくつかの報告で指摘されている6,8〜10)。我々は,以前,母親が視覚性前兆に続発する片頭痛の既往歴を持っていた患者において,視覚性前兆が先行する片頭痛から,次第に既知感が出現するようになり,最終的に大発作への移行が観察されるようになった症例を報告する機会があった7)が,今回,再び,眼性片頭痛の遺伝歴を有し,視覚性前兆から既知感へと展開する片頭痛を持った女性例を体験した。本症例は,以前の症例と同様,片頭痛とてんかんが偶発的にではなく因果的関連を持って共存する片頭痛-てんかん症候群1)の発現機序を病歴の中でたどることのできる興味深い症例であると思われるので報告するとともに,既知感を特徴とする夢様状態の発現機序について若干の文献的考察を加えた。
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