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文献詳細

雑誌文献

精神医学34巻12号

1992年12月発行

文献概要

研究と報告

SPECTとEEGで初期病変を観察しえたCreutzfeldt-Jakob病の1剖検例

著者: 谷井靖之1 金英道1 倉知正佳1 川口誠2

所属機関: 1富山医科薬科大学医学部精神神経医学教室 2富山医科薬科大学医学部第2病理学教室

ページ範囲:P.1331 - P.1338

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 【抄録】 症例は65歳の男性。1990年7月頃から視覚障害が出現。8月上旬より急速に痴呆症状が進行したため8月27日当科入院。入院時所見としてSPECTでは左頭頂部に限局した明らかな脳血流低下が認められ,脳波所見では同部位に対応するT5領域にphase reversalを示す鋭波が周期的に出現していた。終夜脳波の解析では,徐波成分のパワーに左右差を認めた。同時期に施行したCTおよびMRI所見では特記すべき所見を認めなかった。右上肢から始まったミオクローヌスはまもなく全身に広がり,脳波所見も周期性同期性放電(PSD)に移行していた。終夜脳波の解析では徐波成分のパワーの左右差がより著明になっていた。呼吸器系の合併症にて10月26日死亡。全経過4カ月。剖検所見では左頭頂葉皮質に最も強い海綿状変性を認めた。これらの所見から,Creutzfeldt-Jakob病にみられるPSDの形成過程初期には,大脳皮質の機能低下が関連していること,さらには早期診断や病態把握にはSPECTおよび終夜睡眠脳波が重要であることが示唆された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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