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文献詳細

雑誌文献

精神医学34巻12号

1992年12月発行

短報

インターフエロン-α-2a投与により幻覚妄想状態を呈したC型慢性肝炎の1例

著者: 山口聡1 黒岩千佳2

所属機関: 1日野病院 2横浜市立大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.1353 - P.1355

文献概要

 インターフェロン-α-2a(以下IFNと記す)は,1977年米国ロシュ社による遺伝子組換え技術を用いたIFN量産化により生産されるようになり10),本邦では1991年12月にC型慢性肝炎に対する使用を厚生省が認可して以来,各施設にて現在積極的に治療に使用され,その成果が確認されつつある状況である。しかし,その副作用7)として初期にはインフルエンザ様症状のほかに,長期間歓投与後には中枢神経系,心血管系,腎,自己免疫疾患などの多臓器にわたるものが報告されている5)。精神症状はCantellら2),Madajewiczら6),Rohatinerら11),Smedleyら12)による傾眠,精神錯乱,知覚異常,運動性障害,見当識障害,幻覚,抑うつ状態あるいはうつ病の悪化などの報告があり,また本邦では廣田ら4)がB型慢性肝炎に投与後の精神症状を報告している。さらに脳波検査では異常所見を高率に認めるという報告がある12)。今回,我々はC型慢性肝炎治療のためIFNの投与により,著しい精神症状を呈した症例を経験したので,ここに若干の考察を加えて報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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