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臓器移植におけるリエゾン精神医学の現況と展望
著者: 福西勇夫1
所属機関: 1東京都精神医学総合研究所
ページ範囲:P.122 - P.130
文献購入ページに移動■はじめに
コンサルテーション・リエゾン精神医学(Consultation-Liaison Psychiatry,以下CL精神医学と略す)は米国で啓蒙,普及2,23,27)され,1970年代の米国での急速なCL精神医学発展の余波として,本邦にも伝播されるに至ったが,その最初の論文は1977年加藤21,22)によって紹介されたことは周知のことであろう。加藤の報告21,22)からすでに10年以上の年月が経過し,その後の本邦におけるCL精神医学は啓蒙期,普及期を終え,現在ようやく発展期にさしかかりつつあるように思える。本邦では,確かに米国ほどのCL精神医学の実践がなされているとは言い難いものの,その役割の重要性は精神科以外の領域の医療関係者25,34,35)にも徐々に浸透している。
ここ数年間,脳死の問題をはじめとする臓器移植に関連した諸問題は,医学領域にとどまらず,社会問題にまで発展しつつある。臓器移植の中でも腎移植は,30年以上前から実施されてきた臓器移植であり,今やその施行数は年々急上昇し,本邦では年間に約700例33),米国においては約9,000例47)の腎移植術がなされるに至っている(表1)。一方,腎移植以外の臓器移植である心臓移植,肝移植も米国では,かなりの例数が実施されている46)。今後もこれらの数値は確実に上昇するものと推測される。臓器移植の実践は現代科学の急速な進歩による産物であり,腎不全患者であれば半永久的な血液浄化法からの脱却には,臓器移植に依存するしか手段がないように,その試みは患者の生活の質(Quality of Life,QOL)の改善,向上に通じるものである3,4,32,43,44)。
コンサルテーション・リエゾン精神医学(Consultation-Liaison Psychiatry,以下CL精神医学と略す)は米国で啓蒙,普及2,23,27)され,1970年代の米国での急速なCL精神医学発展の余波として,本邦にも伝播されるに至ったが,その最初の論文は1977年加藤21,22)によって紹介されたことは周知のことであろう。加藤の報告21,22)からすでに10年以上の年月が経過し,その後の本邦におけるCL精神医学は啓蒙期,普及期を終え,現在ようやく発展期にさしかかりつつあるように思える。本邦では,確かに米国ほどのCL精神医学の実践がなされているとは言い難いものの,その役割の重要性は精神科以外の領域の医療関係者25,34,35)にも徐々に浸透している。
ここ数年間,脳死の問題をはじめとする臓器移植に関連した諸問題は,医学領域にとどまらず,社会問題にまで発展しつつある。臓器移植の中でも腎移植は,30年以上前から実施されてきた臓器移植であり,今やその施行数は年々急上昇し,本邦では年間に約700例33),米国においては約9,000例47)の腎移植術がなされるに至っている(表1)。一方,腎移植以外の臓器移植である心臓移植,肝移植も米国では,かなりの例数が実施されている46)。今後もこれらの数値は確実に上昇するものと推測される。臓器移植の実践は現代科学の急速な進歩による産物であり,腎不全患者であれば半永久的な血液浄化法からの脱却には,臓器移植に依存するしか手段がないように,その試みは患者の生活の質(Quality of Life,QOL)の改善,向上に通じるものである3,4,32,43,44)。
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