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文献詳細

雑誌文献

精神医学34巻2号

1992年02月発行

文献概要

研究と報告

憑依症候群—非分裂病例からの検討

著者: 木村光男12 森山成彬1 斉藤雅1 金長寿1 橋口庸3

所属機関: 1八幡厚生病院 2現,福岡県立太宰府病院 3現,行橋厚生病院

ページ範囲:P.131 - P.138

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 【抄録】 最近5年間に経験した非分裂病性の憑依症候群8例について臨床的検討を加えた。年齢は初老期以降が多く,女性が多数を占めていた。生育地・居住地は共に都市とその近郊であった。低学歴の傾向はなく,知能も正常範囲であった。病前性格はいわゆる執着気質が多かった。全例が持続的葛藤下にあり,うち6例が急性ストレスを契機に発病していた。女性患者の場合,社会的に無力である夫に代わって,一家の大黒柱であることを余儀なくされていた。宗教的背景は必須ではなかった。症状は,不眠後に高揚感を呈するものが大部分で,患者を鼓舞する親和的な幻聴がみられた。憑依物は先祖の霊や神仏が多く,動物はなかった。発症後に家庭環境に改善の認められた例は転帰が良好であり再発も認めなかった。DSM-Ⅲ-RやICD-10による診断のみでは本症候群の持つ意味と特徴が浮き彫りにされず,愚依症候群の診断名は有用であった。本症候群は都市化の波にもかかわらず,今後も存続すると思われる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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