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文献詳細

雑誌文献

精神医学34巻2号

1992年02月発行

文献概要

研究と報告

神経性無食欲症における聴性脳幹反応(ABR)と脳幹機能について

著者: 宮本洋1 市川忠彦2 佐久間健一2 熊谷一弥3 小泉準三2

所属機関: 1湯原病院 2筑波大学臨床医学系(精神医学) 3筑波大学附属病院

ページ範囲:P.147 - P.151

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 【抄録】 神経性無食欲症15例(AN群)および年齢と性を合わせた正常対照者15例(C群)とに聴性脳幹反応(ABR)を施行して比較検討した。検討したのは,ABRの絶対潜時(Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳ,Ⅴ),波間潜時(Ⅰ〜Ⅲ,Ⅲ〜Ⅳ・Ⅴ,Ⅰ〜Ⅳ・Ⅴ),絶対振幅(Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳ・Ⅴ)そして振幅比(Ⅱ/Ⅰ,Ⅲ/Ⅰ,Ⅳ・Ⅴ/Ⅰ)である。その結果,絶対潜時,波間潜時および絶対振幅では有意差は認められなかったが,振幅比(Ⅲ/Ⅰ,Ⅳ・Ⅴ/Ⅰ)では,AN群がC群に比較して有意に低値を示した。これはanorexia nervosaの脳幹に何らかの機能障害が存在する可能性を示唆するものと思われた。脳幹は,神経伝導路上,摂食を調整する中枢と密接に連絡があり,その点で本症の病態に何らかの関与が疑われた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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