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文献詳細

雑誌文献

精神医学34巻2号

1992年02月発行

研究と報告

遅発性ジスキネジア患者の糖質および脂質代謝

著者: 越野好文1 堀江端12 向井雅美13 松原六郎1 伊崎公徳1 伊藤達彦12 石倉佐和子14

所属機関: 1福井医科大学神経精神医学教室 2現,福井県立精神病院 3現,加賀神経サナトリウム 4現,滋賀医科大学精神医学講座

ページ範囲:P.163 - P.168

文献概要

 【抄録】 遅発性ジスキネジア(TD)患者の糖質・脂質代謝について,年齢・性別・肥満度・臨床診断・基礎疾患の罹病期間・抗精神病薬服用量をマッチさせた対照患者(各群32人)と比較・検討した。糖質代謝についてはTD患者と非TD患者との間に,空腹時血糖,グリコヘモグロビンおよびインスリン値に有意差はみられなかった。血糖値は軽度TD群(101.6±20.5mg/dl,平均±SD)よりも,中等度TD群(89.9±11.0mg/dl)が低かった。抗精神病薬の服用量が多い群(102.2±19.4mg/dl)のほうが,少量の群(90.7±14.3mg/dl)より血糖値が高かった。総コレステロール値に差はなかったが,トリグリセライド値はTD患者で126.9±72.1mg/dlと,非TD患者の165.8±90.0mg/dlより低値であった。従来のTD患者の空腹時血糖値が高いという報告は支持されず,むしろ血糖値上昇には抗精神病薬そのものの影響が考えられた。また,TDの本態解明には脂質代謝の面からの研究も必要なことが示唆された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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