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研究と報告
高血圧を欠き末期に前大脳動脈領域に梗塞を生じたBinswanger病の1例
著者: 飯島正明1 石野博志1 妹尾晴夫1 稲垣卓司1 春木繁一2
所属機関: 1島根医科大学精神医学教室 2松江青葉クリニック
ページ範囲:P.177 - P.182
文献購入ページに移動本例は,躁うつ病様の症状で発症したのち,次第に痴呆症状が前景となり,頭部CT上,両側大脳白質にびまん性のlow densityが認められたため,高血圧を欠いたBinswanger病と診断した。言語障害,歩行障害,尿失禁,仮性球麻痺症状などを伴い,次第に臥床傾向となり,末期に左前大脳動脈領域に梗塞を生じ,その4カ月後に肺炎にて死亡した。神経病理学的に,左前大脳動脈領域の皮質・白質に梗塞巣,大脳白質のびまん性の脱髄,小ラクネの散在,白質細小動脈の硬化像を認めた。
本例のように,高血圧を欠き,白質のびまん性の脱髄病変と比較的大きな皮質・白質梗塞を合併する例は少ないと思われ,報告するとともに,Binswanger病の成因について若干の考察を加えた。
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