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文献概要
巻頭言
再び「エッセイとコンピューター」について
著者: 加藤正明1
所属機関: 1東京医科大学精神医学教室
ページ範囲:P.236 - P.237
今から24年前の本誌の巻頭言に,「エッセイとコンピューター」(10:522,1968)という記事を書いたことがある。それは要するに,エッセイイズムがすぐれて直観的な体験に基づく論旨を,独自のキーワードを駆使して魅力的な仮説として展開する―例えば「関与しながらの観察」や「二重拘束説」―のに対して,コンピューティズムは臨床的,実験的事実を数量化し,高度の数理統計学を駆使して,因子分析,相関係数,クラスター分析などの結果から,ある仮説を導き出す方法である。エッセイイズムは優れたレトリックによって楽しく読ませ,納得させるが,その実証性については必ずしも定かではない。コンピューティズムは,本来「質」的な現象を量化することによって,数量的な分析に根拠を求めるが,質を量化する過程が常に批判の対象となる。
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