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文献詳細

雑誌文献

精神医学34巻4号

1992年04月発行

展望

学習障害の精神医学

著者: 中根晃12

所属機関: 1東京都立梅ケ丘病院 2東京都精神医学総合研究所

ページ範囲:P.348 - P.364

文献概要

■学習障害の概念
 1.LDの概念
 学習障害(learning disabilities;LD)の概念はClementsら25)が微細脳機能障害MBDのタイトルの下に特定の学習能力の欠陥を記述したことに遡るとされる。森永90)は学習障害は微細脳機能障害MBDの症状として,治療教育を前提として提唱された用語であるとしている。この用語を最初に採用したのはKirk, S. L. とされ,学力の欠陥が文化および教育上の因子によってではなく,脳の機能障害の結果である時に使用するとしたが,診断にあたっての重要な部分はある能力と他の能力とに大きな隔たりがあることだとされ121),彼はこうした子供は読字障害dyslexiaというよりも読むことを学習しないのだとし,教育現場で多数の人によって用いられる名称になった2)。学習に問題を持つ子供に対するとらえ方の力点の変化は,全米障害児諮問協会NACHCの1988年のMBDの定義から1977年の連邦のLDの法的定義(PL94.12)という変遷に反映されている。ここでLDは能力と学業達成度とのギャップ,基礎にある心理過程およびいくつかの病態の除外が定義の骨組になり121)「特定学習障害とは,言われたり,書かれたりする言語の理解と使用を含む基本的な心理的な過程の障害によって,聴いたり,考えたり,話したり,読んだり,書いたり,綴ったり,計算をしたりといった能力が不完全であるという形で出現するもので,知覚のハンディキャップ,脳損傷,微細脳機能障害,読字困難,発達性失語が含まれるが,視聴覚や運動の欠陥の結果でも,精神遅滞や情緒障害,文化的・環境的,経済的不利の結果でもない」と記述されている。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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