文献詳細
研究と報告
妄追想により短期間に緻密な妄想体系を構築した1例
著者: 道又利1 齊藤悦郎1 臼木澤史子1 伴亨1 酒井明夫1 三田俊夫1
所属機関: 1岩手医科大学神経精神科学講座
ページ範囲:P.391 - P.397
文献概要
本例の考察を通じて再規定される「妄追想」とは,それ自体は現状への適応を強く志向していながら,自閉性の問題に深くかかわる概念であり,そこでは,適応すべき現状と自閉的過去とで構成される「二重の見当識」が端的に示されると考えられた。また妄想の形成機序について力動的解釈をも試みた。これらの錯綜した諸問題を見通す視点を提供するという点で本症例は極めて有用であった。
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