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文献詳細

雑誌文献

精神医学34巻4号

1992年04月発行

研究と報告

妄追想により短期間に緻密な妄想体系を構築した1例

著者: 道又利1 齊藤悦郎1 臼木澤史子1 伴亨1 酒井明夫1 三田俊夫1

所属機関: 1岩手医科大学神経精神科学講座

ページ範囲:P.391 - P.397

文献概要

 【抄録】 妄追想により,傷害致死などの事件を内容とする緻密な妄想体系をごく短期間に構築し,かつ妄追想以外の症状がほとんど認められない27歳の1男性症例を経験した。本例の主症状は,その形式から,妄追想,連想性追想錯誤などの概念に合致し,症例の症候論的検討を通じてこれらの諸概念について考察した。
 本例の考察を通じて再規定される「妄追想」とは,それ自体は現状への適応を強く志向していながら,自閉性の問題に深くかかわる概念であり,そこでは,適応すべき現状と自閉的過去とで構成される「二重の見当識」が端的に示されると考えられた。また妄想の形成機序について力動的解釈をも試みた。これらの錯綜した諸問題を見通す視点を提供するという点で本症例は極めて有用であった。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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