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文献詳細

雑誌文献

精神医学34巻4号

1992年04月発行

研究と報告

ヨードホルムガーゼの手術創充填によりせん妄状態を呈した直腸癌の2例

著者: 笠原友幸1 石郷岡純1 三浦貞則1

所属機関: 1北里大学医学部精神科

ページ範囲:P.409 - P.416

文献概要

 【抄録】 ヨードホルムは古くから創傷や潰瘍の殺菌や消毒に用いられているが,その中毒症状としてせん妄,頭痛,頻脈,対光反射の遅延などがみられることはあまり知られていない。今回,我々は直腸癌の手術後の開放創にヨードホルムガーゼを挿入したところ,せん妄状態を呈した2症例を経験したので報告した。症例1は79歳の女性,直腸癌の診断のもと腹会陰式合併切除術と人工肛門造設術を受け,開放創にヨードホルムガーゼ5m充填された。術後5日目よりせん妄状態となったが,ヨードホルムを中止したところ約2週間で回復した。症例2は59歳の男性,直腸癌の診断のもと腹会陰式合併切除術と人工肛門造設術を受け,開放創にヨードホルムガーゼ6m充填された。術後6日目よりせん妄状態となったが,ヨードホルムを中止したところ約1週間で回復した。中毒症状は主としてヨードホルム自体の中枢神経系に対する麻酔作用に起因し,長期あるいは大量使用の場合はヨードの中毒作用も合併してくると考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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