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晩年発症の精神分裂病および分裂病様障害(DSM-Ⅲ-R)について—心理検査における器質性徴候の観点から
著者: 池沢良郎1
所属機関: 1順天堂大学精神医学教室
ページ範囲:P.489 - P.496
文献購入ページに移動 【抄録】 晩年発症の精神分裂病および分裂病様障害(DSM-Ⅲ-R)の11例をウェクスラー成人知能検査,ロールシャッハテストにおける器質性徴候の有無で器質徴候群,非器質徴候群の2群に分け,発症前の諸要因,発症前後の経過,治療反応性,症候学的特徴を比較した。その結果有意な差として,器質徴候群は比較的急性経過をとって入院に至ることが多く,治療反応性も短期的には良好で,幻覚・妄想の構造は器質性精神病のものに近いことが分かった。さらに傾向として,器質徴候群のほうが前駆症状として自律神経症状や身体異常感覚を呈しやすいこと,一方非器質徴候群は閉経と関連を有するものの多いことが示唆された。これらより器質性徴候の有無を検討することは疾病構造や予後を知る上で有用であり,いわゆるdiagnostic formulationにおいて不可欠であることが推察された。
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