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文献詳細

雑誌文献

精神医学34巻5号

1992年05月発行

文献概要

研究と報告

高齢精神分裂病者の頭部CT所見—健常高齢者および精神外科被術分裂病者との比較

著者: 大森晶夫1 越野好文1 村田哲人1 村田一郎1 谷一彦1 堀江端1 伊崎公徳1

所属機関: 1福井医科大学神経精神医学教室

ページ範囲:P.497 - P.504

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 【抄録】 高齢精神分裂病者30人,うち精神外科手術歴のない分裂病者(非ロボトミー群)20人と手術歴のある分裂病者(ロボトミー群)10人に頭部CT検査を行い,痴呆のない健常高齢者22人と比較検討した。高齢分裂病者は健常高齢者に比べて,前頭葉萎縮およびシルビウス溝の開大が高度であった。一方,脳室系の指標は両群間に差を認めなかった。これらのことより,脳表の萎縮と脳室系の拡大は異なる病理学的機序に基づくことが示唆された。すなわち,分裂病の成因に関連する大脳皮質の形態的脆弱性の上に加齢による脳萎縮が付加され,高齢分裂病者の脳表萎縮は健常人の加齢変化を上回るが,脳室拡大は健常人の加齢変化と同程度に進行し,高齢者では差が目立たなくなると推察された。ロボトミー群は頭部CTで脳表の萎縮がより高度で,非ロボトミー群より脳室も拡大しており,ロボトミーが手術痕以外にも分裂病者の脳形態に変化を与えることが確認された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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