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文献詳細

雑誌文献

精神医学34巻5号

1992年05月発行

研究と報告

L-threo-DOPS投与により皮膚—腸内寄生虫妄想が劇的に消失したパーキンソン病の1例

著者: 川田誠一1 横井昌人1 野村吉宣1 竹谷摩利子1 左光治1 黒田健治1 宮崎真一良2

所属機関: 1大阪医学大学神経精神医学教室 2阪南病院

ページ範囲:P.513 - P.516

文献概要

 【抄録】 L-threo-DOPS(DOPS)の投与により皮膚—腸内寄生虫妄想が消失した1症例を報告した。症例は筋固縮,振戦,小きざみ歩行などからパーキンソン病と考えられ,精神症状として皮膚—腸内寄生虫妄想および幻聴が認められた。治療経過中に小きざみ歩行や振戦に増悪傾向を認めたためにDOPSを投与したところ,それら症状が改善傾向を示すとともに,これまでの抗精神病薬の治療にもほとんど改善を示さなかった皮膚一腸内寄生虫妄想が3週間で劇的に消失した。今回,皮膚—腸内寄生虫妄想が消失した薬理学的作用機序は不明であるが,DOPSは中枢ノルエピネフリンの補充や遊離作用などノルエピネフリン前駆物質としての薬理作用が明らかとなってきており,皮膚—腸内寄生虫妄想と中枢ノルエピネフリン系との関連が向後検討されるべきであると考えられる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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