研究と報告
同一個人を対象とした多施設間でのERP測定結果の比較—P 300成分に関する検討
著者:
佐々木司18
平松謙一2
林田征起3
岩波明4
市川郁夫5
塚原靖二6
中込和幸5
斉藤治6
穴見公隆6
本田秀夫6
福田正人2
丹羽真一2
伊藤憲治7
所属機関:
1神経研究所附属晴和病院
2東京大学医学部精神医学教室
3東京大学医学部医用電子研究施設
4都立松沢病院
5帝京大学医学部精神科学教室
6国立精神・神経センター武蔵病院
7東京大学医学部音声言語医学研究施設
8現・帝京大学医学部精神科学教室
ページ範囲:P.599 - P.607
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【抄録】 異なった施設間での事象関連電位(ERP)データの比較可能性を検討するため,測定方法を日本脳波筋電図学会の標準的測定法を基にできるだけ統一して,同一被検者のERPを5つの施設で測定し,P 300成分の一致度を検討した。対象は健常成人男性5例で,ERP課題にはoddbal1課題(鍵押し課題)を用いた。その結果,同一被検者におけるP 300成分の出現の有無については,視察的にいずれの施設でも一致した結果が得られた。さらにP 300頂点潜時と振幅値のバラツキおよび施設間の一致度を,分散分析とその結果を基に計算した級内相関係数を用いて検討した。その結果,潜時・振幅ともに施設間のバラツキは被検者間のバラツキよりも小さく,級内相関係数でみても比較的良好な施設間の一致度が得られた。今後より高い一致度を得るために必要な条件についても検討を行った。