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文献詳細

雑誌文献

精神医学34巻6号

1992年06月発行

文献概要

研究と報告

抗精神病薬大量投与中の精神分裂病患者にみられた熱射病の1例

著者: 白石弘巳14 長島薰2 仲谷誠15 一瀬邦弘16 栗田慶子1 栗田正文1 融道男3

所属機関: 1栗田病院 2聖マリアンナ医科大学第1内科 3東京医科歯科大学精神神経科 4現・埼玉県立精神保健総合センター 5現・獨協医科大学精神神経科 6現・都立多摩老人医療センター

ページ範囲:P.627 - P.635

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 【抄録】 Phenothiazine系の抗精神病薬などを大量に服用中,真夏日の午後戸外に出た後,突然40℃を越える高熱,意識障害,発汗障害を呈し,熱射病を合併した38歳の男性精神分裂病患者の1例について報告した。この症例では,横紋筋融解症の病態が認められたが,救命救急センターに移送し,急性腎不全やDICの併発は未然に防ぎえた。
 分裂病患者の高温環境下での不適切な行動や,向精神薬の使用が熱射病罹患の危険因子になることを述べた。特に,抗精神病薬による抗ドーパミン作用が視床下部の体温調節中枢を抑制し,末梢への抗コリン作用や抗α交感神経抑制作用による修飾も加わり,熱射病の発症に関与すると考え,悪性症候群との関連について考察を行った。精神分裂病患者に抗精神病薬を投与する場合,悪性症候群のほか,熱射病の合併にも十分な注意が必要であることを指摘した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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