icon fsr

文献詳細

雑誌文献

精神医学34巻6号

1992年06月発行

文献概要

研究と報告

老年期の機能性精神疾患と多発性脳梗塞およびその危険因子についての検討

著者: 藤川徳美1 藤田康信1 安常香12 柴田庸子1 東方田芳邦1 山脇成人3

所属機関: 1県立広島病院精神神経科 2現,加計町国民健康保険病院精神神経科 3広島大学医学部神経精神医学講座

ページ範囲:P.645 - P.649

文献購入ページに移動
 【抄録】 初老期以降に精神症状で発症した患者にMRIを施行し,多発性脳梗塞の合併率およびその危険因子に焦点を当て研究を行った。対象は,50歳以降に抑うつ状態,躁状態,幻覚妄想状態,神経症症状で発症した42例の患者で,全例にMRIを施行した。ストロークの既往のある患者,痴呆ならびにアルコール症の患者は対象から除外した。方法はMRI所見をT2病変5個以下の正常・軽度異常群と6個以上の多発性脳梗塞群に分類し比較検討した。結果は,全42例中32例(76%)に中等度以上の多発性脳梗塞を認め,脳血管障害が精神症状発症の原因となったと考えられた。危険因子について正常・軽度異常群と多発性脳梗塞群で比較すると,各々高血圧は2/10(20%)と9/32(28%),糖尿病は1/10(10%)と2/32(6%),高脂血症は5/10(50%)と16/32(50%),凝血学的異常は0/10(0%)と13/32(41%),アポ蛋白異常は2/10(20%)と16/32(50%)であり,凝血学的異常,アポ蛋白異常は多発性脳梗塞の危険因子になると考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?