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文献詳細

雑誌文献

精神医学34巻7号

1992年07月発行

研究と報告

MELASの1自験例—急性外因反応型と思われた多彩な精神症状を中心に

著者: 布施木誠1 五味渕隆志1 水澤英洋2 岩本浩之3

所属機関: 1東京大学分院神経科 2筑波大学臨床医学系神経内科 3初石病院

ページ範囲:P.703 - P.710

文献概要

 【抄録】 Mitochondrial myopathy, encephalopathy lactic acidosis and strokelike episodes(MELAS)の1症例を報告した。本症例は17歳時に頭痛,嘔吐で発症し,19歳時よりけいれん発作を頻回に起こすようになったため,当初てんかんが疑われ神経内科に入院し,頭部CTにてcortical atrophyおよび両側後頭葉,側頭葉に低吸収域,血中乳酸,ピルビン酸の高値,筋生検にてragged red fiberを認め,MELASと診断された。
 精神症状としては知能低下,情動失禁などの感情障害,性格変化,失書などの巣症状といった脳血管性痴呆に類似の症状のほかに,一過性の意識障害の重畳が認められた。経過中に幻視,空笑,人物誤認,妄想様観念が出現したが,それらは軽い意識障害を背景にした急性外因反応型の症状としてとらえられた。またミトコンドリア脳筋症に生じた精神症状を文献的に展望し,精神分裂病様症状,躁うつ病様症状,急性外因反応型などがみられることを指摘した。最後に本症例の診断および治療上の注意点について簡単に指摘した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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