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文献詳細

雑誌文献

精神医学34巻7号

1992年07月発行

文献概要

研究と報告

特異な精神症状を呈したMELAS型ミトコンドリア脳筋症の1例

著者: 上田ゆかり1 元村直靖1 野々村安啓1 岡村武彦1 米田博1 堺俊明1 古玉大介2 篠田恵一2 大澤仲昭2

所属機関: 1大阪医科大学神経精神医学教室 2大阪医科大学第1内科学教室

ページ範囲:P.711 - P.716

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 【抄録】 MELAS型ミトコンドリア脳筋症の1例を報告した。23歳時より発作性嘔吐および強直間代けいれん発作が計4回出現し,3回目および4回目の発作消失数日後より,急激に意識変容と精神運動性興奮を伴った幻覚妄想状態を呈し,抗精神病薬投与にて速やかに静穏化した。血液生化学検査において,乳酸,ピルビン酸値の上昇,頭部CTにて両側基底核に高吸収域,MRIにて同部に低信号域を認め,さらに筋生検のゴモリトリクローム染色にてragged red fiber,チトクロームCオキシダーゼ染色にて欠損線維が認められた。
 本症例の近親者にミトコンドリア脳筋症を思わせる臨床症状を呈したものは見当たらないが,弟の頭部CT,MRIにて軽度ながら発端者に類似した所見が認められ,保因者の同定にCT,MRIの有用性が示唆された。
 本症例の精神症状は症状性精神病として位置づけられると思われるが,性格,知的レベル,環境などの要因も精神症状発現に関与していると考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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