研究と報告
精神分裂病患者の病前行動特徴(第6報)—小中学校時代の通知表に表現された病前行動特徴に対する教師の対応
著者:
増井寛治1
岡崎祐士2
原田誠一3
佐々木司4
高橋象二郎5
高桑光俊6
飯田茂7
本田秀夫8
所属機関:
1都立墨東病院神経科
2長崎大学医学部精神神経科学教室
3神経研究所付属晴和病院
4帝京大学医学部精神科
5東京都立中部総合精神保健センター
6多摩病院
7埼玉県立総合精神保健センター
8横浜市総合リハビリテーションセンター
ページ範囲:P.717 - P.723
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【抄録】 筆者らはこれまでに精神分裂病患者の小中学校時代の通知表を資料とする学校記録法により,病前の性格や行動を調べ,陰性症状類似の行動特徴がすでに教師によって観察・記載されていたことを報告した。今回は学校生活で病前行動特徴に直面した教師の対応を通知表の記載から調べた。対象は分裂病患者とその同胞22対の小中学校時代の通知表で,1学年分の平均枚数は17.8枚であった。通知表の性格・行動欄の否定的評価の全記載を取り出し,教師のそれに対する対応を指摘,変化・改善の評価,対極行動の指示,努力の評価,家庭へ要望など8つに分類した。対象ごとに各対応の出現頻度を調べ,患者-同胞間で対応のあるt検定を行った。その結果,両群ともに否定的行動の指摘と対極を指示する対応が多く,患者群は同胞群より対人関係や性格の面で否定的「指摘」を多く受けていた。分裂病の病前行動特徴に対する対応のあり方は学校精神保健上の検討が必要な課題と思われる。