文献詳細
研究と報告
幻覚妄想状態を呈した優性遺伝型ミオクローヌスてんかんの4例
著者: 足立直人1 大沼悌一1 明石俊雄12 久野武1 中山宏1
所属機関: 1国立精神・神経センター武蔵病院 2(現)長野県立駒ヶ根病院
ページ範囲:P.745 - P.750
文献概要
これらの幻覚妄想は意識清明で著しい知的機能低下のない状態で生じ,被害関係妄想,嫉妬妄想,自責罪業妄想,発明妄想などの多彩な形をとったが,その内容はいずれも単調で体系化しなかった。幻覚妄想はいずれも比較的短期間で消退した。その理由としては,向精神薬が奏効したことに加え,気分や状況の変化により改善したことや知能低下の進行に伴い妄想の維持が困難になったことなどが考えられた。
幻覚妄想の生成機序は多要因によると思われるが,なかでも全般性の脳器質変化とそれに基づく軽度の知能低下,性格変化の影響と,精神機能における遺伝的脆弱性の存在が考えられた。またいわゆる“てんかん性”とされる要因の可能性は少なかった。
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