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文献詳細

雑誌文献

精神医学34巻8号

1992年08月発行

文献概要

特集 薬物依存の臨床

世界各国における精神作用薬乱用の現況とその予防

著者: 諸治隆嗣4

所属機関: 1イロリン大学精神医学教室 2世界保健機関:精神保健,薬物およびアルコール依存に関する専門家による諮問委員会 3(財)東京都精神医学総合研究所精神薬理部門 4都精神研

ページ範囲:P.807 - P.814

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 薬物乱用とそれに関連する問題は,非常に深刻であり,1988年2月に召集された国連総会では特別な会議が開催された。国連事務総長は議題の紹介に当たって「薬物乱用によってもたらされる脅威を過小評価してはならない。薬物乱用に伴う個人的な悲劇,健康に対する重篤な侵襲,社会の破綻,経済の損失,民主主義制度の破壊,腐敗,威嚇,暴力,死などについて議論する予定である」と宣言した。これらの問題の性質や重大性は,社会文化的環境によって世界各国で異なっている。先進工業国であるアメリカやヨーロッパ諸国は最も重大な問題を抱えているが,中東や極東の各国においても中等度から重度の問題となっている。発展途上にあるアフリカの第三世界の国々では,資源が限られ,また社会経済的な困難が山積しているにもかかわらず,やはり薬物乱用の急増という問題に直面している。各国の経験はそれぞれに異なるが,国連の特別総会は,最新でしかも徹底的な対策として「1988年度,麻薬および向精神薬の不法取引の防止に関する国際連合条約(United Nations Convention against Illicit in Narcotic Drugs and Psychotropic Substances)」を全会一致で決議した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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