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特集 薬物依存の臨床
覚せい剤の脳に対する作用—ドーパミン信号系を中心として
著者: 門田健1
所属機関: 1東京都精神医学総合研究所神経化学部門
ページ範囲:P.883 - P.890
文献購入ページに移動 我が国におけるこの10年ほどの間の覚せい剤の乱用の状況は,戦後すぐの時期ほどではないにしても,規模においてはこれに次ぐ程度であり,第2流行期にあるとされている。検挙者数は減少の傾向にあるものの,依然として乱用薬物の首位にあり,今後もしばらくはこの状態が続くのではないか,と予想されている10)。
この覚せい剤の乱用から生じる覚せい剤精神病は,症状の内容,症状の経過の両面において精神分裂病に類似していることが指摘され,発症,経過にかかわるであろう機構について多くの検討が加えられてきている21,47)。本稿はそういった検討の中でも特に神経化学的な手法による研究を取り上げ2,38,39,42),この方面の研究の最近の動向のあらましを紹介することにしたい。
この覚せい剤の乱用から生じる覚せい剤精神病は,症状の内容,症状の経過の両面において精神分裂病に類似していることが指摘され,発症,経過にかかわるであろう機構について多くの検討が加えられてきている21,47)。本稿はそういった検討の中でも特に神経化学的な手法による研究を取り上げ2,38,39,42),この方面の研究の最近の動向のあらましを紹介することにしたい。
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