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文献詳細

雑誌文献

精神医学34巻8号

1992年08月発行

文献概要

研究と報告

痴呆老年者の異常行動と睡眠障害に対する頭部低電圧パルス通電治療—二重盲検・交叉法による臨床治療試験

著者: 大川匡子1 穂積慧2 菱川泰夫3 堀浩2 佐藤謙助4

所属機関: 1国立精神・神経センター精神保健研究所 2協和病院 3秋田大学医学部精神科学教室 4生体情報研究所

ページ範囲:P.901 - P.912

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 【抄録】 入院中の痴呆患者のうちで,俳徊や興奮,せん妄などの様々な異常行動と睡眠障害を呈していた34名について,それらの症状に対する頭部通電による治療効果を二重盲検・交叉法で検討した。頭部通電装置はHESS-100型を使用した。通電は午前10時から20分間とした。対象患者を実通電先行群と偽通電先行群の2群に分け,実通電と偽通電をそれぞれ連日2週間ずつ行った。観察は通電前2週間,通電2週目(実通電または偽通電),通電4週目(前2週間と交叉した偽通電または実通電),終了後2週目とし,全体として8週間にわたり実施した。医師または看護者による個々の患者の観察項目は,睡眠,問題行動,知的精神機能,情緒,神経症状,日常生活動作,脳波などであり,特に睡眠については睡眠時間帯の記録を長期間にわたって行った。効果の判定を「情報量規準」1)を用いたχ2検定によって行ったところ,頭部通電により痴呆老年者の睡眠障害,行動面での自発性,問題行動などに著明な改善効果がみられた。脳波記録の結果より,頭部通電には日中の覚醒レベルを上昇させる効果があると判断された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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