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文献詳細

雑誌文献

精神医学34巻9号

1992年09月発行

研究と報告

Folie à deuxとCapgras症候群とが同時に認められた1家族例

著者: 鈴木ひろ子12 柏瀬宏隆3

所属機関: 1上智大学文学研究科 2東芝林間病院精神神経科 3防衛医科大学校精神科学教室

ページ範囲:P.957 - P.964

文献概要

 【抄録】 姉(46歳)と妹(40歳)が被害関係妄想を共有してfolie à deux状態となり,さらに姉には父親や妹に対するCapgras症候群も現れたケースについて,その経過を報告した。
 この姉妹(両者とも分裂病)はそれまで交互に再発を繰り返してきていたが,社会からの孤立を契機にほほ同時に再発して同じ妄想を共有し,さらに84歳の父親もその妄想に巻き込まれ,folie en familleに至っている。その経過中に姉が,父親や妹を「偽もの」と思い,妹も一時的ではあったが,姉とともに父親を「偽もの」と攻撃し,姉のCapgras症候群をも共有した。
 このようにfolie à deuxとCapgras症候群が同時に現れた症例は,欧米でも3例が報告されているにすぎず,我が国では未だ報告がない。
 本症例の成立機制や,folie à deuxとCapgras症候群との同時出現に関しては,その背景に複雑な家族力動があると考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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