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文献詳細

雑誌文献

精神医学34巻9号

1992年09月発行

研究と報告

漢字失読の神経心理機構

著者: 鈴木重忠1 能登谷晶子1 倉知正佳2 小山善子34 杉山有5

所属機関: 1金沢大学医学部耳鼻咽喉科学教室 2富山医科薬科大学神経精神医学教室 3金沢大学医学部神経精神科学教室 4現,石川県立高松病院 5金沢大学医学部神経内科学教室

ページ範囲:P.987 - P.993

文献概要

 【抄録】 漢字に強い失読を示した下側頭葉後下部型の失読失書,純粋失読,超皮質性感覚失語各1例計3例を対象に,漢字と仮名の音読成績を分析した。その結果,低頻度で画数の多い漢字のみが有意の差で成績が不良で,漢字には熟知度と画数によって仮名と同じ経路で処理されるものがあると示唆された。また,下側頭葉後下部例は漢字の部分読み,純粋失読例は形態類似語への誤り,超皮質性感覚失語例は音訓の混乱や分類不能の誤りが特徴的であった。これらの結果とサルの電気生理学的,組織学的研究知見との対応から,純粋失読では形態分析レベルの障害,下側頭葉後下部型は,形態統合レベルの障害,超皮質性感覚失語は意味との照合レベルの障害を中核に持つと推測した。以上より,読字は文字形態の難易と熟知度とによる2つのルートと3つのレベルとで処理する機構を持つと考えた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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