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文献詳細

雑誌文献

精神医学34巻9号

1992年09月発行

文献概要

短報

精神症状を呈した右側頭葉クモ膜嚢胞の1症例

著者: 植田尚樹1 多田幸司1 野中幸之助1 後藤多樹子1 野上芳美1

所属機関: 1日本大学医学部精神神経科学教室

ページ範囲:P.1021 - P.1023

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 クモ膜嚢胞は,髄液を満たした良性の腫瘤で,クモ膜によって取り囲まれ,クモ膜下腔に存在する。好発部位はSylvius裂,中頭蓋窩底部,大槽,四丘大槽などである2)。我々は,当初うつ病と診断されその後幻視,幻聴,被害関係妄想,記銘力障害,抑うつ気分などの症状を呈し,MRI検査において右側頭葉下部にクモ膜嚢胞を認めた症例を経験した。近年,画像診断の進歩に伴って無症状のクモ膜嚢胞が発見される機会が多くなっているが,精神症状を呈する症例は稀であると考えられている。また,本症例の診断に際し,通常のCT,脳波検査で障害部位の正確な同定が困難であったなど臨床上重要と思われる経験をしたため,ここに報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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