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研究と報告
草むらテストにおける精神分裂病患者の全体的描画特徴
著者: 横田正夫1
所属機関: 1日本大学文理学部心理学研究室
ページ範囲:P.27 - P.33
文献購入ページに移動 【抄録】 先の研究において「草むらに落とした500円を捜している自分」を描かせる草むらテストの部分的特徴について検討した。本研究ではこのテストの描画の全体的特徴について検討するために,分裂病患者30名と正常者50名の描画計80枚を,正常者8名に全体的特徴に関する評定尺度24項目で評定きせた。それらの評定値をもとに項目について因子分析を行ったところ5つの因子が抽出されたが,分裂病患者と正常者の間で有意な因子得点の差が認められたのは2つの因子(非統合化—統合化,充満—空虚)においてであった。すなわち,分裂病患者の描画が非統合化と空虚によって特徴づけられた。さらに,それらの2つの因子を構成する主な項目によって分裂病患者と正常者の間の判別を試みたところ,それぞれ90.0%,81.3%の正判別率が得られた。このように,草むらテストの臨床的有用性が示された。
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