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文献詳細

雑誌文献

精神医学35巻1号

1993年01月発行

文献概要

研究と報告

うつ病患者の受療行動に関する研究

著者: 塚崎稔1 太田保之2 楠本四郎1 麻生忠史1 村崎修1 中根允文1

所属機関: 1長崎大学医学部精神神経科 2長崎大学医療技術短期大学部

ページ範囲:P.35 - P.42

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 【抄録】 長崎市立市民病院精神科外来を初めて受診して本格的に治療を開始したうつ病患者92例の受療行動を分析した。初回の受療行動が治療に結びついたのは9例(9.8%)にすぎず,全患者の延べ受療行動回数は286回にも上っていた。特に多かったのは,一般診療科の延べ105回,家族・同僚の延べ63回であった。精神科を受診しながら,すぐ治療に結びつかなかった患者は10例であり,複数の精神科を受診した患者は3例もいた。受療行動の中途から,伝統的治療者へは延べ9回訪れていた。つまり,精神的な病気であるという説明を受けながらも多くのうつ病患者が精神科以外の診療科や相談者を頻回に訪れていること,精神科や一般診療科で医学的判断を受けながらも伝統的治療者への指向も同時に存在すること,社会的能力障害度が中等度に至るまで本格的な治療を始めないことなどが確認された。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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