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文献詳細

雑誌文献

精神医学35巻1号

1993年01月発行

文献概要

研究と報告

抗てんかん薬の免疫系に与える影響

著者: 稲本淳子1

所属機関: 1昭和大学医学部精神医学教室

ページ範囲:P.71 - P.77

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 【抄録】 抗てんかん薬の免疫系に与える影響について研究するため,10年以上抗てんかん薬を服薬している患者のうちインフォームド・コンセントの得られた131例を対象として免疫系の検査を行った。T cellあるいはB cellの低下は73%に認められたが,helper T cell低下や,helper T cell/suppressor T cellの低下,あるいはPHA(phytohemagglutinin)に対するリンパ球幼若化テストの低下を来すことは約10%と少なく,免疫グロブリン値の異常も15%と少なかった。T cell,B cellともに低下するものは21%あり,helper T cellも相関して低下していた。この時phenytoinの血中濃度は有意に高かった。以上の結果より,抗てんかん薬はnull cellを増加させるが,機能的には細胞性免疫,液性免疫の低下を引き起こすことは少なく,T cellとhelper T cellが相関して低下するとT cellsubsetsのアンバランスを来し,B cell系を障害するものと考えられた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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