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文献詳細

雑誌文献

精神医学35巻10号

1993年10月発行

文献概要

研究と報告

徐波睡眠と成長ホルモンの関係—睡眠覚醒リズム障害を呈した視床下部症候群の症例から

著者: 山下剛利1 板東浩2 勢井宏義3 阿瀬川孝治13

所属機関: 1藍里病院 2徳島大学医学部第一内科学教室 3徳島大学医学部第二生理学教室

ページ範囲:P.1039 - P.1047

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 【抄録】 症例は20歳の女性で,10歳頃より微熱,13歳頃より冬期うつ病(炭水化物渇望)に似た病像を呈していた。15歳頃より上記症状の季節性は失われ,17歳頃より睡眠覚醒リズム障害が出現している。GHに対する賦活試験および終夜睡眠脳波検査の結果,1)覚醒時にGRFによってGHの強い賦活がみられたが,L-dopaでは賦活されないこと,2)入眠時におけるδ-sleepおよびGH分泌の欠如していることが判明した。以上の結果から,1)平均体温の上昇は,δ-sleep欠如を考慮すると,PGD2の機能不全が推定される。2)δ-sleepが欠如していることは,NREM睡眠のstage Ⅰ-Ⅱとstage Ⅲ-Ⅳとが異質であることを示唆している。3)体温上昇による代謝亢進が高次中枢の抑制系(NPYなど)にとって負荷要因となっている可能性が強い。炭水化物渇望もNPYに起因するものと思われる。4)L-dopaによるGH賦活欠如およびδ-sleep期GH分泌欠如はdopamineおよびNPYなどの異常と関係があるものと思われる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-126X

印刷版ISSN:0488-1281

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